「コスパが良いワインを教えてほしい」——ソムリエをしていると、よくそう聞かれます。
でも正直に言うと、「コスパ」という言葉は難しいなと思っています。安いから良いわけでもなく、高いから美味しいわけでもない。自分が払った金額に対して「このワイン、やっぱりいいな」と感じられること。それが、私の思うコスパです。
今回は、そういう意味での”本当のコスパワイン”を5本、選んでみました。日本ワインあり、アルザスあり、ナチュールワインあり。飲んでほしい理由と一緒にお伝えします。
コスパを語る前に、少しだけ
何千円までがコスパか、という話をすると迷ってしまうので、今回は「3,000〜4,000円以内で、このクオリティはすごい」という基準で選びました。
ワインの価格は、生産量・流通コスト・ブランド力で大きく変わります。無名でも丁寧に作られたワインが、有名ブランドの半額以下で手に入ることは、実はよくあります。それがナチュールワインや小規模ワイナリーを勧めたくなる理由のひとつです。
ソムリエが本当に飲んでほしいコスパワイン5本
① 小布施ワイナリー(長野)——日本ワインの底力を見せてくれる1本
長野県小布施町にある、日本の自然派ワインの先駆け的な存在です。農薬・除草剤不使用で育てたブドウを、できる限り手を加えずに醸造しています。
飲んでみると、「これが日本のワインか」と思います。繊細だけど、芯がある。輸入ワインと並べても、引けを取らない質です。
「日本のワインってどうせ…」という先入観がある方に、一番最初に飲んでほしい1本。3,000円前後で、このクオリティ。一度飲むと、考え方が変わると思います。
② 天花寺ワイナリー(山梨)——情熱が、ワインの味になっている
大阪出身の女性醸造家が立ち上げた、山梨の自然派ワイナリーです。もともとは営業職として自然派ワインの世界に関わっていたものの、「自分のワインを作りたい」という思いから醸造学を学び、山梨で独立されました。
そういう経緯を知ってから飲むと、なおさら味わいに納得感が出てきます。
特に甲州を使ったワインが魅力的です。甲州は日本固有のブドウ品種で、旨味があってきれいな味わい。「日本のワインらしさ」を、素直に表現しているような1本です。情熱的な経歴の醸造家が、日本の土地に向き合って作ったワイン——そう思いながら飲むと、また少し違って感じます。
③ マルク・クラウデンバイス「クリット・ピノ・ブラン」(アルザス)——会ってわかった、本物の誠実さ
アルザス地方のクリット村に拠点を置く、ビオディナミ農法の生産者。実は最近、当主と直接お話しする機会がありました。
ワイン作りへの考え方、土地への向き合い方、何を大切にしているか。話を聞いていて「このワインが美味しい理由がわかった」という感覚がありました。
ピノ・ブランは、アルザスの品種の中でも柔らかくて親しみやすい。果実の香りとほのかな花の風味が重なって、飲み疲れしない。2,500〜3,500円という価格帯でこのクオリティは、正直お得だと思います。
④ ジュリアン・シュニエ「ボジョレー・ヴィラージュ」(フランス)——ナチュール初心者に一番勧めたい
「ナチュールワインって難しそう」というイメージがある方に、まず飲んでほしいのがこれです。
ジュリアン・シュニエはボジョレーの若手生産者。亜硫酸添加を極力抑えて作るナチュール系ですが、「変なクセがある」という感じは全くない。ガメイ種らしい、きれいな果実味とさらりとした口当たり。
2,000〜2,500円前後で手に入ることが多く、「ナチュールワインの入口」として一番わかりやすい1本だと思っています。
⑤ ドメーヌ・グラムノン(フランス・コート・デュ・ローヌ)——「この値段でいいの?」と毎回思う
コート・デュ・ローヌのビオディナミの作り手。グルナッシュを主体にした、力強いけれどきれいな赤ワインです。
ローヌのワインはフルボディで重たいイメージがあるかもしれませんが、グラムノンのものは違います。果実の深みがありながら、飲み終わりがすっきりしている。2,500〜3,500円という価格を見るたびに「この品質でその値段?」と思います。
自然派ワインに慣れてきた方の”次の1本”として、ぜひ。
まとめ:大切にしているのは、作り手の誠実さです
今回選んだ5本に共通しているのは、「丁寧に作られている」という点です。
価格が安いから、じゃない。宣伝が少ないだけで、丁寧に土地と向き合って作られているワインが、ちゃんとある。そういうものを選びたいと思っています。
ソムリエとして「コスパ」を語る時、私が意識しているのはそこです。
ぜひ1本、試してみてください。飲んでみて「あ、良いな」と思ったワインがあれば、ぜひ教えてもらえると嬉しいです。

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