冷蔵庫でしっかり冷やした白ワインを開けたのに、なんだか味があっさりしている。そんな経験はありませんか。
ワインの味は、温度で驚くほど変わります。この記事では、現役のソムリエとして、お店で毎日していることと、家でできる簡単な調整をお伝えします。
先に結論
- 白ワインは、冷やしすぎないほうが良さが出るものが多いです
- 赤ワインは、常温より少し冷やしめくらいが目安です
- 家では、飲む時間から逆算して、ワインを外に出しておくのがいちばん簡単です
- ただし絶対ではありません。キンキンに冷やしておいしいワインもあります
温度で、ワインの何が変わるのか
冷やすほど、風味は感じにくくなり、酸味はくっきりして、甘みは感じにくくなります。赤ワインでは、渋みだけが突き出して感じられるようになります。反対に温度が上がると、風味が立ち上がり、酸味は少しぼんやりして、甘みを感じやすくなります。渋みも穏やかになります。
白ワインを冷蔵庫でキンキンに冷やすと、スッキリはします。そのかわり、そのワインが持っている香りや旨味まで、閉じてしまうことがあります。
一方で、軽やかなスパークリングや、すっきりした辛口の白は、キリッと冷やしてゴクゴク飲むのもおいしいものです。「白だから何度」と決めつけず、ワインによって変わる、と考えてもらうのがいちばん安全です。
白ワイン:冷蔵庫の白は、冷やしすぎのことが多い
私は、冷蔵庫でキンキンに冷えた白ワインは、冷やしすぎのことが多いと思っています。冷蔵庫の温度は、白ワインには低めだからです。
おすすめは、飲む少し前に冷蔵庫から出しておくことです。数分置くだけで、香りの出方がだいぶ変わります。
お店ではこうしています
お店で白ワインのボトルを注文いただいたときは、ワインによって温度の整え方を変えています。セラーの温度のままお出しするワインもあれば、氷水に浸けて、狙った温度帯に近づけるワインもあります。氷水に浸ける時間で温度を調整していて、忙しい営業中は、何分浸けるとこのくらいの温度になる、という感覚で時間を測っています。
それでも、少し手が遅れると、冷えすぎることがあります。そんなときは、ボトルを氷水から外して、温度を少し戻します。
グラスに注ぐときにも工夫があります。お客様のグラスに、まだ飲んでいるワインが半分ほど残っている状態で、少しだけ足します。冷えたワインが、口に入る温度をやわらげてくれます。
ワインボトルがちょうどいい温度になったら、水を抜いて、氷の上に置くだけにします。それだけで、やんわりと温度を保てます。
赤ワインは冷やす?常温?「常温」の言葉に注意
赤ワインは「常温で」と言われますが、日本の夏の室内は、ワインにとって高すぎることがあります。常温より少し冷やしめくらいが目安だと思ってください。
ただし、冷やしすぎにも注意が必要です。温度を下げると、甘みや風味が抑えられて、渋みだけが突き出して感じられます。渋みの強い赤ほど、温度を少し上げたほうが、渋みは穏やかに感じられます。
お店で、赤をお出しするとき
お店のセラーは、常温より少し低めで保管しています。赤ワインは、お出しする温度に近づけてあげたいところです。
赤を頼まれることがわかっているときは、先にボトルをセラーの外に出して、温度を調整しておきます。その間は、シャンパーニュをおすすめしたり、白ワインを少しお出ししたりして、時間を稼ぎます。
急に赤ワインを頼まれたときは、デキャンタで少し温度を上げることも考えます。料理の提供スピードや会話の間合いで、少し時間をいただくこともあります。
そもそものセラーの温度を、お出しする温度に少し近づけておくのも、現場で使っている考え方です。
家でできる、いちばん簡単な調整
家で飲むときは、いつ飲むかを自分で決められます。だから、逆算して、ワインを外に出しておけば大丈夫です。
- 白:飲む少し前に冷蔵庫から出す
- 赤:セラーや涼しい場所から、飲む少し前に出して、温度を整える
ワインセラーがあるなら、温度はこまめに変えなくて構いません。適温に保っておいて、外に出しておく時間で調整するのが、やりやすいと思います。セラーの選び方は、こちらの記事に書きました。
→ ワインセラーの選び方|ソムリエが教える、家庭用で失敗しない3つの基準
まとめ
- 大まかには、しっかりとした重いワインは温度高め、すっきりめのワインは温度低めを目安にするといいと思います
- 温度で、風味・酸味・甘み・渋みの感じ方が変わります
- 家では、飲む時間から逆算して外に出しておくのがいちばん簡単です
次にワインを開けるときは、いつもより数分だけ早く冷蔵庫から出して、一口目と最後の一口を飲み比べてみてください。同じワインの違う顔に気づけるかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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