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「ワインが好きな人らしいので、何かいいものを」。そう頼まれて、検索の画面を開いたところだと思います。予算は5,000円くらい。相手の顔は浮かぶのに、好みまでは知らない。
贈り物の相談を受けていて、いちばん多いのは、値段の高さで決めてしまう選び方です。気持ちは分かります。お祝いなので、いいものを渡したい。
ただ、実際にはこんなことが起きます。あまりに良いワインだと、すぐに飲む場面がないので、置き場所に困る。ワインセラーを持っている方ばかりではありません。意外と、すぐ飲んでもらえるワインのほうが喜ばれることもあると思います。
だから、贈るワインは相手がいつ飲めるかから逆算すると、外しにくくなります。ここが、値段より先に決まることです。
贈って外さないワインの決め方は、3つだけです
①相手がすぐ飲める状態か
もらった週末に開けられるワインか、それとも何年か置いてから本領を発揮するワインか。ここが最初の分かれ道です。
熟成させると化けるタイプの赤は、ワイン好きには喜ばれます。そうでない方の家では、台所の隅や冷蔵庫の下段に置かれたまま、夏を越すことになります。相手がワインにのめり込んでいる方かどうかで、ここは変わってくると思います。
②箱に入っているか
手渡しなら、箱の有無で印象がかなり変わります。紙袋にそのまま1本より、箱入りのほうが「お祝い」の形になります。配送する場合も、箱入りなら破損しにくく、のしもかけやすいです。
商品ページに「化粧箱入り」「ギフトボックス付き」と書いてあるかを、買う前に確認してください。同じ銘柄でも、箱なしのものと箱入りのものが別々に売られていることがあります。
③名前を見て、相手が分かるか
これは見落とされがちです。知らない産地のワインは、もらった側が「どう飲むものか」を調べるところから始まります。せっかくの贈り物で、相手に手間をかけてしまう形です。
珍しいワインが悪いわけではありません。相手がワイン好きなら、むしろそちらが喜ばれます。相手の知識量が分からないときほど、名前で伝わるものを選ぶほうが安全だと思います。
相手の好みが分からないときは、3つだけ聞いてください
お店で困るのは、贈る相手の情報がまったくないまま「何かいいワインないかな」と聞かれるときです。ソムリエでも、それだけでは絞れません。
逆に、次の3つが分かると、範囲はかなり狭くなります。
- その方が普段どんなお酒を飲んでいるか(ビール、日本酒、ワインなら赤か白か)
- だいたいの年齢
- 男性か女性か
せっかく贈るなら、おいしく飲んでもらえるものを選びたい。そう思って聞いていくと、なんとなく形が決まってきます。贈る相手の周りの人に、ひとこと聞いてみるだけでも違います。
どうしても分からないときは、赤と白のペアが答えになります。2本あると、家で飲む場面も選べます。
場面別|何を贈るか
結婚祝いは、シャンパン
結婚祝いでまず思い浮かべるのは、シャンパンです。門出のワインとも呼ばれていて、お祝いにはちょうどいいと思っています。
栓を開ける音と泡で、その場が華やぎます。新居に届いても、冷蔵庫で冷やせばすぐ飲めます。①の「すぐ飲める状態か」を、いちばん満たしやすい形でもあります。
2番目の案としては、赤ワインと白ワインの、分かりやすい王道のワインをペアで贈る形もありだと思います。ふたりで飲む前提なら、こちらのほうが長く楽しめます。
昇進祝い・栄転にも、泡が無難です
昇進や栄転は、本人だけでなく家族や職場で分け合う場面が出てきます。泡は人数が増えても形になりますし、改まった席にも合います。
会社宛てに届ける場合は、冷蔵庫の空きがないこともあります。届いた日にすぐ飲まなくていいように、劣化しにくい力強い赤ワインを選ぶ考え方もあります。
お礼・お歳暮は、残らないほうが喜ばれる場面もある
お礼の品は、相手に気を遣わせない程度の価格に収めるほうが、受け取る側は気楽です。飲みきりやすい1本か、赤白のペアあたりが収まりがいいと思います。
予算別|実際に挙げている銘柄
価格は2026年9月23日に確認したものです。ワインの価格と在庫は変わりますので、購入時にあらためてご確認ください。
3,000円台|軽いお礼、数を配る場面に
ドメーヌ・ベルサン/ブルゴーニュ・コート・ドーセール シャルドネ(白・約3,200〜3,700円)
ブルゴーニュの北、シャブリの近くにあるサン・ブリの造り手です。2009年から有機栽培に切り替えていて、11〜12世紀に造られた蔵で熟成させています。ブルゴーニュのシャルドネなので、相手に説明が要らないのも贈りやすいところです。
シャルドネのふっくらとした味わいと、酸味がうまく調和しています。値段以上のコストパフォーマンスがある1本だと思います。
E.ギガル/クローズ・エルミタージュ ルージュ(赤・約2,600〜3,400円)
ローヌを代表する造り手です。同じギガルのコート・デュ・ローヌが2,000円台で買えるのに対し、こちらは一段上の産地のシラー。贈り物として並べるなら、この格から上が形になると思います。
値段以上にしっかりとした味わいで、南の産地らしい果実味と旨味も出ています。これからの季節なら、ジビエ料理やきのこ、根菜を使った料理との相性もいいと思います。秋から冬の食卓に向く赤です。
5,000円台|迷ったときの本命は、赤白のペア
シャトー・モンペラ ルージュ&ブラン 2本セット(約5,700円・箱入り・送料無料)
ボルドーの赤と白のペアです。漫画で取り上げられて一気に知られた銘柄なので、名前で伝わるという3つ目の条件を満たします。箱入りで、のしにも対応している店が多いです。
白のほうは、肉感のある旨味に、はちみつのような風味と甘みがあります。少しナッツのような風味も出てきて、値段以上に複雑な味わいです。赤で名前を知ってもらって、白で驚いてもらう。ペアで贈る意味が出やすい組み合わせだと思います。
8,000円台|結婚祝いの本命
シャルトーニュ・タイエ/キュヴェ・サンタンヌ ブリュット(シャンパーニュ・約8,500円・送料無料)
造り手が自分の畑のぶどうだけで造る、RMと呼ばれるシャンパーニュです。大手のものと比べると、畑の個性がはっきり出ます。
大手の大量生産のシャンパーニュとは違い、個性のある辛口です。赤ぶどうを主体にしたふくよかな味わいで、旨味があります。同じ価格帯のシャンパーニュと比べると、クオリティの高さを感じます。
私の勤める店でも使っています。ボトルで楽しんでもおいしいですが、コースの最初の一杯にぴったりの1本です。秋の食材との相性もいいと思います。
白ワインで贈るなら、シャトー・ド・ムルソー/ブルゴーニュ・ブラン クロ・デュ・シャトー(約8,000円・送料無料・ギフト対応)も同じ価格帯です。ムルソーの生産者が手がけるブルゴーニュの白で、名前の通りが良い1本だと思います。
15,000〜20,000円台|節目の贈り物に
マストロヤンニ/ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ ロレート(赤・約16,800〜17,800円)
イタリア・トスカーナの、サンジョヴェーゼから造られる赤です。評価誌でも高く採点されています。
この価格帯を贈るときは、最初に書いた「置き場所」の話に戻ってください。相手がワインセラーを持っているか、それとも近いうちに開ける機会があるか。そこが分かっている相手にだけ、この帯は向いていると思います。
お客様を見ていると、この価格帯を選ばれるのは、富裕層の方や事業をされている方が多いです。仕事でお世話になっている相手へ贈る場面が、ほとんどだと思います。
のし・渡し方で迷ったら
表書きは、結婚祝いなら「御結婚御祝」、昇進なら「御祝」、お礼なら「御礼」。迷ったら「御祝」で問題ありません。通販で買う場合は、注文画面でのしの種類と表書きを選べる店が多いです。
夏場に配送するなら、クール便を選べる店を探してください。宅配ボックスに長く置かれると、ワインにはこたえます。白と泡は、冷えた状態で届くほうが、相手もすぐ飲めます。
まとめ|贈る相手の顔から逆算する
値段ではなく、相手がいつ飲めるかから決める。名前で伝わるものを選ぶ。箱に入れる。この3つで、ワインの贈り物はだいたい形になると思います。
相手の好みが分からないときは、普段の飲み物、年齢、男性か女性かの3つだけ聞いてみてください。それでも決まらなければ、赤白のペアで大丈夫です。
ワインそのものの選び方は、こちらにも書いています。ぜひ合わせて読んでみてください。
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